中学受験を再考する

中学受験再考⓪「再考の必要性 – 第1志望合格率は10%を切るという現実」

はじめに。

みなさんはじめまして、ひろと申します。

普段は都内で最難関校を目指す生徒さんを対象とした塾講師・家庭教師をしています。指導歴は今年で18年ほどになります。

この18年の指導のうち、前半は主に大手塾(集団形式)で指導してました。指導実績としては、自分でいうのもなんですが、かなり良かったかと思います。

でも、その生活の中で、中学受験において様々な問題点があることをひしひしと感じ、そしてその問題点の皺寄せは塾・先生側にではなく主に受験生・親御さんに向かっていることを痛感し、さらには集団形式の大手塾ではその改善が構造的に難しいと強く感じたため、現在は独立してオリジナルの指導スタンス・カリキュラムで指導を行っています。

このブログでは、この「中学受験における様々な問題点」にフォーカスを当て、その問題点に対する対応策を綴っていく予定ですが、まずは最大の問題点についてだけ、この記事で書いてみようと思います。

第1志望合格率は約30%といわれるが、実際は10%を切る現実。

中学受験をする多くの子が、「新小4」と呼ばれる小3の2月から塾に通い始め、そこから3年程をかけて中学受験を目指します。つまり、小4からの3年間、多くの時間とお金を費やすわけです。

でも、第1志望合格率は10%を切ります。

よく「第1志望合格率は3割前後」というふうにもよく言われますが、これには少しトリックがあって、大手塾ではレベル別のクラス制度があり、小5・小6と受験が近づくにつれてそのクラスに応じた志望校が勧められるため、小4~6の3年間の間で段階的に志望校をダウンさせていくシステムが確立されています。すなわち、「受験直前に設定した志望校」における第1志望合格率が(高くて)3割前後、というわけです。そして多くの塾・塾講師はこのシステムに救われています。

(もちろん、新しい学校を知り、自分に合ったor自分の子供に合った学校と出会い、志望校を変更したというケースもあるでしょう。でも、表向きはそう言っても、実際は学力が下がったことでそうせざるを得ない状況となっているケースが大半です。実際、学力は上がり続けたorずっとキープされていた子が「自分に合っている」という理由で偏差値的には高い学校から低い学校に変えるケースはかなりレアです。)

受験勉強を始めたとき、もしくはしばらくして学校を知ってから「少しレベルは高いけど、すごく行きたい!」と思って最初に決めた「当初の第1志望」の合格率で言えば、10%を切るということです。

つまりは、10%の受験生・親御さんのニーズは満たし、90%の受験生・親御さんのニーズは満たせない、これが現在の中学受験業界の現状といえるでしょう。

現在の塾業界のシステムは、この「10%層」とその少し下の「10%予備層」を手厚く扱うことで、合格実績を稼ぎ、その実績を掲げて次の生徒を獲得する、という形になっています。塾側の経営的視点からしたら、定期的に行われるクラス分けテスト&クラス分けは、この序列を定期的に整理して「10%層」と「10%予備層」の入れ替えにより「10%層」のアップデートを行い、先生と生徒の最適化をしているにすぎません。「10%層」と「10%予備層」の生徒を定期的に見極めて最新の「10%層」を上位クラスに配置する。それと同時に、結果を出すいい先生は上位クラスに配置し、そうでない先生は中堅~下位クラスに配置する。こうやって、上位層同士のマッチングを行い、塾としての成果を最大化たいわけです

しかし言いかえれば、このシステムは中堅~下位クラスから上位クラスへの上昇は、塾のみに任せることでは達成するのが極めて難しいということです。勉強のできない子をできるようにするという、塾の本質的役割を塾のシステムは担っておらず、あくまで「先生個々」での対応のみになるわけです。(だから、中堅~下位クラスの場合、先生の当たり外れがとても重要になってしまうわけです。)

そしてこういったシステムと、このシステムが生み出す「第1志望合格率が10%を切る」という現実の皺寄せは、受験生本人と親御さんにダイレクトに行きます。特に、受験生本人への影響が大きい。

現在の受験生の大半は、受験を目指す3年間は好きなことを耐えて努力するわけです。好きなこと・やりたいことを我慢して、勉強する。その過程では大好きだった親とケンカしたりもして、受験が終わった後にも残るほどの亀裂をつくることも時にはあります。そんなふうに、子も親も疲弊しながら努力を積み重ねたのに、その成果が出る確率は10%を切る。90%は泣くわけです。

中学受験を再考しよう。

「ま、でも、受験ってそういう厳しい世界だよね」と思うなら、そのまま突き進むのでも良いのでしょう。

でも、もしこの状況を打破したいのであれば、現在の中学受験の構造を俯瞰・分析して問題点を把握し、その問題点に対する対応策をしっかりと講じる必要があります。すなわち、中学受験を再考する必要があるわけです

僕自身はもちろん後者のように思うわけで、だって塾のシステム的な問題の皺寄せを自分の子どもが受けて、努力に対する成果が阻害されてしまっているわけです。そんな3年間、自分なら嫌だ。有意義だとも思えない。だからこの状況を打破したいと思うから、独立して自分で指導を始め、さらにはこのブログを始めました。

このブログでは、「現在の中学受験の構造の俯瞰・分析による問題点把握」と「その問題点に対する対応策」の2つにフォーカスを当てて書いていく予定です。(僕個人の指導の宣伝的役割は持たせない予定なので、利害関係なくフラットに見て頂ければと思います。)

あまり速いペースでは更新できないかもしれませんが、コツコツ書いていく予定ですので、もしどこか共感できそうでしたら、これからも読んでみてくださいね。

ではではまた次回の記事で。読んで下さってありがとうございました。

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ひろ@中学受験再考

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